シンポジウム開催まで残り一週間となりました。本日よりシンポジウム開催まで登壇者の紹介やシンポジウムをより楽しんで頂くためのコラム等を掲載していきたいと思います。第1段ではシンポジウムの表題でもある「みんなでアフターケア」にこめた想いをお話したいと思います。
近年は児童虐待の問題や児童養護施設や里親家庭といった社会的養育について広く社会に認知されるようになってきました。一方で社会的養育経験者へのアフターケアの必要性やアフターケアとして実際にどのようなニーズがありどのようなサポートが行われてきたかはまだまだあまり知られていません。
社会的養育経験者へのアフターケアの取組は戦前から行われてきました。児童養護施設の職員や里親、地域の篤志家達の自主的な取組として社会に巣立った若者達の自立を支えるための共同生活や相談支援のための取組が行われるようになりました。この他にもNPOや企業等、様々な立場の人達によってアフターケアのための取組が各地域毎に行われ発展してきました。こうした取組が広がっていく中でその社会的意義が徐々に認識されるようになり国や自治体による公費補助がなされるようにもなりました。
しかし、これだけ様々なアフターケアの取組が行われていてもすべての社会的養育経験者が充実したアフターケアを受けられているわけではありません。近年はアフターケアに関する公的制度の拡充が進められてきていますが、若者達の多様なニーズに対応できているとは言い難く、制度の対象からこぼれてしまっている若者も少なくありません。公費補助も不十分で多くの取組は職員の持ち出しや寄付等によりなんとか成り立っているのが実情です。
私達はすべての若者へのアフターケアの標準化を目指します。そのためには、アフターケアの公的責任を明確にすると共に、特定の団体や個人がアフターケアの負担を抱え込むのではなく、よりたくさんの人達が各地域毎にそれぞれの強みを活かして多様なアフターケアを展開していくことが理想だと考えています。
その第一歩として、これまでにアフターケアに取り組んできた人達、これからアフターケアに取り組んでいこうと思う人達、そしてアフターケアを必要とする子ども・若者達みんなで想いを共有することから始めたいと思いました。オンラインという形ではありますが少しでも多くの人達のアフターケアへの想いを語り、つなぎ、盛大なキックオフにしていきましょう。